!注意!










愛情を与えられなかった哀れな子供は、居るか居ないかもわからない神様に、手を合わせて願掛けをした。

愛されたい、と…。


自分が死ぬまでに、一度で良いから誰かに愛されてみたいと、その哀れな子供は心から願った。

自身の、この乱世を生きる小さな命を疎ましく思う母親から死ぬよりも辛い、酷く汚れた言葉を幾度も投げつけられようとも、その子供はただ、居るか居ないかもわからない神様にひたすら願掛けをし続けた。


死ぬまでに、一度で良いから誰かに愛されてみたい……。

神様、どうか…梵をお救い下さい………。



やがてその子供は大人になったが、心の中はまだ未熟で、未発達な、愛情に飢えて苦しむ子供のままだった。


愛されたい。
神様、どうか俺を愛してくれる奴を与えて下さい。
俺だけを愛してくれる、従順で無垢な人間を俺に与えて下さい。


それはそれは、その男がもつ左眼が血走るくらいに毎日祈り続けてきた願いだった。


愛されたい、死ぬまでに一度で良いから誰かに愛されてみたい……神様、どうか梵をお救い下さい………



やがてその男は竜となり、日の本を征するまでの力を手に入れた。

欲しいと願う物は、どんな手を使おうとも、力で奪い取るという事を良しと考えるようになった。

独りで学び得た生き方は、この男を狂わせ、欲しい物を手に入れては壊し、自身の意のままにならないものは容赦なく壊す。
その者が人間ならば、躊躇せずにその命を奪う事を繰り返して行った。



そんな男を見た周りの家臣共は、男を恐れるようになった。
一人、また一人と彼を避ける家臣…。

彼は独りぼっちになった…。


そんな独りぼっちの男が、ある時、自分とは正反対な性格をした男に恋をした。

名を真田幸村と云う者を、彼は大層気に入ったようだった。




あいつなら俺を愛してくれる筈。
俺を慕っていると唯一、言ってくれた人間だ。

あいつなら、きっと俺の、この呪われた体と歪んだ心を理解して愛してくれる筈だ…。


やっと見つけ出した、俺の運命を変える奴を。
俺を救ってくれる奴を
俺を愛してくれる奴を、やっと見つけた……。




「真田幸村…俺を愛してくれよ…俺はお前を手に入れたい、壊したくねぇから、俺の思う通りにしろよ。」


男は、虎の若子と称される少年を生け捕りにして、毎日毎日、その心と体を侵食し続けた。


「政宗殿は某が憎いからこなような事をされるのですか…!?某は貴殿をお慕いしておりましたのに…この様な侮辱…耐えられませぬ…!!」

虎の若子は、衣服を剥がれ、一糸纏わぬ姿で男の部屋に監禁され続けていた。

その華奢で細い首には逃げられないように重たい鎖を巻き付け、部屋の柱へと括り付けていた。

虎の若子は涙を流し、その男へとひたすら愛情を注ぎ続けた。
それは純粋過ぎる愛情であったが、貧弱な愛情でもあった。

ただひたすらに…、“出会った頃の様に気高く天を舞う竜の如く、凛とした姿に戻って欲しい”と願い続けてきたのだが、それは元からその男には無い姿を、虎の若子は幻想として思い描いていたに過ぎなかった。


虎の若子は、組み敷かれ、力任せに奪う情事を好む男に幾度も犯され続けてきた。

涙を流し、拒絶を露わにすれば殴られ、その存在を否定される。

『アンタの愛情も、“あの女”みてぇに俺を狂わせるだけだ!テメェなんか消えろ!』


首を絞められ、涙を流し咽ぶ少年は、ただひたすらに男へと愛情を注いだ。
自分が殺されかけようとも、ただただ少年は伊達政宗という男の流す涙を指で拭い、震える腕でその体を力一杯抱き締めた。


居るか居ないかもわからない神に、男が自分の想いに気付いてくれるように願いながら…。


END







いいいいいいただいてしまいました!!!
良いのか!私こんなに素晴らしいものをいただいていいのかぁああああ!!!!
すごくうれしいです!!雪野さんありがとうございました!!!
監禁系大好きです^////^私も政宗の愛は歪んでしまっていると思います^/////^
純粋じゃないけど、愛しているんですよね!!
本当に、素晴らしいダテサナありがとうございました!!!!!!